「光様って凄いですよね」 部屋のベランダで腕立て伏せをする光に莉乃が話しかけた。 「えっ?」 光は腕立てを中断し、莉乃の方を向いた。 「すみません、続けて下さい」 「いや、そろそろ終わろうと思ってたからさ。準備しないといけないしね」 「そうですね!今日は、保育園まわりですね。でも教育とか興味あるんですね?玲様とか想像つきますけど…まぁ仕事ですからなんとも言えないですけど」 「だって未来は、今いる子供達が作って行くもんだし、将来俺らの後継者になるんだからより良い人材を育成するのは、当たり前だろ?」 莉乃は感心した。 「単なる体力馬鹿じゃなかったんだ……」 「ん?」 「あ!いや、すみません!!」 思わず二人で大笑いした。 コンコン 二人はドアの方をむくと聡がいた。 「仲いいねぇ」 「あっ!!!すみません!10時に部屋でしたよね!」 「何?聡の部屋いかななきゃなんなかったの?」 「すみません。今から書類すぐお持ちします!」 莉乃は大急ぎで部屋を出た。 「怖い顔しちゃってどうしたんだよ、聡」 聡は無言のまま部屋を出ようとした。 「おいおい、俺に用があんじゃねーのかよ……それとも莉乃ちゃん?」 聡が立ち止まった。 「晶から聞いたけど、手間取ってるんだって?まぁたしかにあの子、隙だらけだけど、なんか手は出しずらいわな……まさかマジになったとか?」 聡は振り返った。 「だったら?」 「おいおい、本気かよ!お前が本気になるような事あるんだな…まぁでも……」 「なんだよ」 「別に。早く行かないと部屋くんだろ?」 「望には絶対言うなよ」 そう言うと、聡は部屋を出た。 「あらら、本気になっちゃって…」 光はシャワーを浴びに浴室に入った。 夜になり、莉乃の仕事が終わろうとしていた。 望の部屋が少し開いていたので、中を覗いた。 すると、テラスの所で望が月を眺めていた。 「望様…」 扉に手をかけた拍子にあいてしまい、その音に望が気付いた。 「莉乃…」 「すみません。失礼します」 「あっ、待って!…少し話そうか?」 莉乃は頷いて中に入った。 扉をしめ、望がいるテラスに立った。 「月…見てたんですか?」 「あぁ……莉乃…聞いてもいいかな?」 「なんですか?」 「両親はなんで亡くなったの?」 莉乃は全てを語った。 実は小さな国であるがそこの王様の娘であった事。 まわりに囲まれた大きな国にせめこまれ、両親は国民の前で処刑された事。 そうなる前に自分だけ脱出出来た事。 そのためにいろんな人間が亡くなった事。 今までなんにも知らなかった自分が、いろんな国をまわり、いろんな事を学んだ事。 1人で生きてきたから強くなれた事。 でも本当は1人じゃなかったと思う事。 「君は本当に強いんだね…」 遠く見つめる望の表情に胸を痛めた。 この人はなんでこんなに1人なんだろう… 莉乃は思わず望にキスをした。 「莉乃…」 望を抱き締めた。 望は莉乃の腕を外しキスをした。 [先頭ページを開く] [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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