恋人契約

契約16

電話は彼氏。
隣にいるのは元カレ。
告げ口したのは好かれてるらしい男。
「タクミ、大丈夫だから!仕事頑張って、ね!帰ってくる時タクミが好きなシチュー作ってるからじゃあね、おやすみ」
「ユイ!」
切る。
「で!寛ちゃん、とにかく帰って!彼氏に誤解されたくないの。うちの親も気にいってくれてるし。たしかにこんな所まだ住んでたら未練がましく感じたかも知れないけど、本当に何もないから。あの後仕事も順調で任されてるし、彼氏が出来たのは予想外だけど、彼は私の意見を尊重してくれるし、それにやっぱ今さらダメだよ」
「本当にもうダメなのか?」
頷いた。
「わかったよ」
そう言って彼は私の部屋を後にした。
すっごく好きな人だったんだけどな。
今は思い出としてしか愛せないよ。
懐かしく思うだけ。
でもなんだろうちょっとセンチな気分になるのは…。
「せんぱーい!開けて下さいよぉ」

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