a childhood friend

きっかけ『1』

3月14日。

前の日の夜、加奈子とメールをし過ぎて寝不足のため、ぐっすりと太陽が上りきってるくらいまで、爆睡していた。
「んん〜、はぁぁあ」
ボーッと目が覚めた。
「おはよう、由香」
ん???
勢いよく目が覚めた。
「おっ、お兄ちゃん、なんでいんのよ!」
ベットにもたれ、和彦が座っていた。
「久々聞いたな、『お兄ちゃん』」
あわわわっ
思わず出た言葉に恥ずかしくなった
「つーかなんでいんのよ!」
「お前だってなんの断りもなく、よくうちで漫画読んでただろうが」
「今、朝だよ!」
「時計見ろ」
ものすごい勢いで時計を手に持つと、12時を過ぎていた。
「朝じゃねーよ、昼だよ。お前寝すぎ!」
ねっ、寝すぎた。
朝から買い物行こうと思ったのに…。
しゅんっとしてる由香を見て、和彦が隣に座り言った。
「バレンタインのお礼に遊んでやるから、落ち込むな。どうせ夜遅くまで漫画でも読んでたんだろ?」
「まっ、漫画じゃないよ!友達とメールしてたの!」
一瞬間があいた。
「なっ、なによ」
驚いた顔で和彦は尋ねた。
「お前、携帯持ってるのか?」
「うん…」
「最近のガキは生意気だな。俺だって去年持ったばっかだぞ」
由香は言葉につまった。
「なんだよ!」
「実は…」
携帯。
最近よく子供が狙われている。
超がつくほど過保護な父親。
そんな事件をテレビで見ていて…
「由香ちゃん!由香ちゃんが危ない!こんなに可愛いんだから狙われる!うん!絶対そうだ!由香ちゃん!明日携帯買いに行こ。何かあったらパパに電話しなさい」
「お父さん、肩掴まないで。」
あまりの興奮ぶりに冷めた口調で言った。
「……とまぁ、そんな感じで持たされました。出かける時に誰もいなかったり、予定より帰りが遅くなる時だけメールすればいいからって、あとは好きに使ってる。でも料金高くなるからって、ネットは繋いじゃだめなの。電話とメールのみ!だから着信…」
そう言って携帯を鳴らす。
初期のままの、会社オリジナルのよくわからないメロディが流れる。
二人で思わず吹き出す。
「着替えろよ。外天気いいし、どっか行こう。この時間まで寝てんだから、予定ないだろ?」
返す言葉もない。
膨れた顔で頷く。
和彦はフッと優しく笑い、頭を撫でる。
「下にいるから」
そう言って部屋を出た。
和くんどうしたんだろう…
最近絶対寄り付かなかったのに…
不思議な気持ちでいっぱいだったが、久々かまってもらえる事にウキウキした。
急いでパジャマを脱ぎ慌てて服を着替えようとした。
「おばさんがご飯どうするかって…」
喋りながら和彦が入ってきた。
一瞬お互いの顔を見合せて固まった。
「ギャー――――!」
和彦は慌てて部屋を出た。

みっ、見られた。
パンツ一枚姿…
バッチリ見られちゃったよぉぉ(泣)

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