a childhood friend

迷走

2月14日。

その日俺は朝からバイトで、3時からその後彼女といた。
高校生2年だった俺は、その2年の夏に出会った2つ年上の女と付き合っていた。
逆ナンされたんだけど。
『年上の女』たかが2才。されど2才。
高校生と大学生との差。
男なのに可愛いと言われたり、「まだ高校生だから」と言う台詞を、早く取り消したい、追い付きたいと大人になるのを急いでいた。

この日も彼女が社長令嬢と言う事もあり、少し高級なレストランで食事をした。
そしてブランドもののチョコと、欲しがっていた財布をもらった。
一緒にいて、彼女のいろんな旅行話が好きで、高校生でバイト代がしれてる俺にとっては彼女だけど、なんだか手に届かないような芸能人といる気がしてた。
嬉しい反面、男としてどうなんだ!
自分で疑問を感じていると、後ろで声がした。
「和くん!」
だっ、誰だ!?
一瞬誰かわからなかった。

「和くん!久しぶりだね……なんか暫くみない間に雰囲気変わったね。髪型変えたから?」
由香…なのか?
「お前…」
久しぶりに見た幼なじみが、随分変わっており、言葉に出来なかった。
「あっ、和くん。一応毎年作ってたから、作ったんだ!はい」
チョコを渡した。
和彦は受けとりチョコをじっと眺めていた。
「変わらないな」
なんだろう…。
見た目が小学生のガキだった妹が、凄く成長し、子供から大人へ、女の子から女性に変わろうとしている。
と言っても、まだまだ中学生ではあるが、いつも上といる和彦にとって、なんだかホッとする瞬間だった。
でもこうやって、全然会ってない俺に、わざわざ作ってくれて、会えないかもしれないのに。
『変わらない』
早く変わりたいとおもってた自分にたいして、『変わらない』事も大切なのかもしれない。
チョコを見ながら思った。
「…変わらないなって言ったんだ。
驚いたよ。見た目がちゃんと女の子になったんだなって、びっくりした」
「どういう意味?」
「別に。最近見ない間に成長したんだなって事」
「わかる?身長去年より5センチ伸びて、今160あるんだよ!」
すると和彦は笑って、由香の頭を撫でた。
「可愛いな、お前」
「毎年ありがとな。ちゃんと食べるよ」
そう言って和彦は家に入って行った。
部屋へ上がり、2つのチョコを眺めてため息をついた。
周りのダチから年上の彼女に、からかわれ追い付こうと……
由香のチョコを見て、無理してる自分が、余計に子供のような気がしていた。

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