a childhood friend

キレる

10月6日。

あれから約1週間たち、由香に呼び出された。
あれからずっと考えていた。
『キスをした』
たしかに。
自分が隙だらけな上ちょっとドキッとしたり…
でも俺が本当に好きなのは由香だ。
それはもう変わらない。
でも綾瀬とキスをした事…なんで知ってんだ?
綾瀬を問い詰めたが…
「真美に話したけど、ほかは誰も知らないし、一之瀬君の幼なじみもあの一回挨拶しただけで、会ってないよ!嘘ついてないよ」
あの顔は嘘ついてないと思う。
どこで知ったかより、ちゃんと誤解をといて……
でもしたのは事実だ。
想いがあるかないか…か。
「和くん」
「由香…」
「ここじゃなんだから、広場行こ」
二人で無言のまま広場についた。
「和くん…」
静かに顔をあげる由香。
「由香…聞いて欲しいんだ。俺は由香が好きだ。それをわかって欲しい」
「ありがとう…でも終わりにしよ」

えっ…
「終わり?」
由香が頷いた。
「あたしは今日限り幼なじみ……いや、なんの関係もないです」
「何言ってんだよ、由香」
「話はそれだけ。お互い受験頑張ろう。じゃあ」
そう言って、由香は和彦を横切り、歩いていった。
嘘だろ…
由香…
まさか、綾瀬が何か…?
和彦は学校へ戻った。
教室を覗き、部室を覗き、図書室で奈々子を捕まえた。
「ちょっとこい!」
「痛いよ、一之瀬君」
無理やり外へ連れ出した。
「おい!由香に何言ったんだ!なんかしたのかよ」
「なんの話よ!」
「とぼけんな!なんかしたんじゃねーのかよ!じゃねーと、1週間前まで普通だったのに、急に態度変えるかよ!」
「なんの話よ!…一之瀬君の幼なじみの事?」
「そうだよ!…本当にお前何も知らないのか?」
奈々子は固まっていた。
いつも温和なイメージで、何しても許してくれる一之瀬君。
こんな一之瀬君知らない。
怖い…
「あたし本当に何も知らないよ!何があったのよ」
「さっきもう終わりにしたいって言われたよ!お前と俺がキスをしたって知って、俺の弁解も聞いてもらえず…」
唇をかんだ。
「話?………あっ」
「なんだよ」
「もしかしてあの時…」
綾瀬が、中西真美と話している話を聞いた。
途中に誰か入ってきた事。
「それが…」
「もしかしたら、幼なじみだったのかも。あたしも一回会っただけだし、顔うる覚えだし、そんなワザワザくる人の顔なんて見ないよ…」
たまたま聞いたって言うのか?
それで?
……今日はたしか塾の日。
行ってもいない。
あきらめた方がいいのか?
「一之瀬君…あたし…」
「もう話かけないでくれ」
無言でその場を去った。

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