a childhood friend

迷い?

9月1日。

和くんが田舎から帰ってきたあの日…和くんが県外に行く事を知った。
あの後も何回か遊びに行ったり、お互いの家で勉強したり、テレビ見たりしていたけど、心の中の動揺は消せなかった。
無理やりに明るく接していたが、和くんは気付いてたと思う。
でも和くんは無理やりこじあけようとはしなかった。
ただいつも通り、隣にいてくれた。
夏休みの間和くんの事ばかり考えており、すっかり木谷君の事を忘れていた。
「由香ちゃん、おはよう♪久しぶりだね!」
「教室帰りなさいよ」
冷ややかに言った。
あたしにたいする目線のが冷ややかだわ。
「またあとでね〜」
めちゃくちゃ手をふる孝平。
「もう!由香はラブラブでいいなぁ」
忘れてた。
加奈子にもまだちゃんと言ってない…
でも加奈子行きすぎた所あるから、ちゃんとわかってくれるかな…

放課後。
やっぱり…いるよ。
「早く帰ったら?木谷君。」
「じゃあ一緒に帰ろうよ」
またこのパターンだよ。
「悪いけどこれからデートなんだ」
「はい!嘘だよね」
「えっ…」
バレた…?
「かまかけただけだけど、嘘だね」
にっこり笑って孝平は言った。
しまった、騙された…
「嘘だけど、帰らない!」
校門を出た。
後ろからついてくる孝平に無視をしながら、思い出した。
桜を見るあたしに……
ハズッ!
でもたしかに裏の桜見てたよ。
綺麗でずっと眺めてた。
お兄ちゃん…和くんが毎年綺麗だって言われて。
和くん……
あたし結局和くんの事考えてるし!
「木谷君」
振り返ると孝平の姿はなかった。
木谷……いっか。
歩きだそうとしたら手を掴まれた。
「きっ、木谷君!あっちょっとぉ」
「こっち!」
手を掴んだまま走り出した。
人だかりが出来ている。
「おい!木谷!放せ!」
「見てごらんよ!凄くない?」
人だかりの視線の先は、バルーンアートをしてる外国の人のショーだった。
初めて見たあたしは、子供のように食い入って見ていた。
「あぁ!凄い!凄い!犬可愛い〜!見てみて!可愛いよね!」
はしゃいで孝平の方を見たら、孝平が満足気に由香を見ていた。
視線をそらした。
「帰るね」
振り返り歩き出した。
あたしまた忘れてたよ。
すると追っかけてきた孝平が差し出した。
「はい!もらってきたよ」
さっき可愛いと言ったバルーンアートの犬だった。
「また明日ね!」
そう言って渡すと孝平は走って行った。木谷君…

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