a childhood friend

真実

8月16日。

和くんが田舎に帰ってしまい、塾、塾、塾の毎日にうんざりしてた。
とは言え、お盆の間はないのでいいんだけど、受験生だから喜んでもいられない。
だからって勉強せずにごろごろしてたらしてたで、邪魔扱いされるので、学校へ行く事にした。
うちの中学は夏休みの間、プールを解放している。
なので学校もあいている。
でもたいがい人がいないので、勉強するのにも家だとテレビを見たりするのでたまにきていた。
誰もいない学校。
プール側からだけ声が聞こえる。
思わず
「わーーーー!」
とかちょっと叫びたくなる。
響く感じを聞いてみたい。
ちょっと言っちゃおうかな…
なんて思っていた。
「わーーーー!」
ん?誰?
あたしと同じ事考えてる人がいるよ!
声の方向へ歩いていくと孝平がいた。
「木谷君…」
「由香ちゃん!?えっ!もしかして聞いてた?」
「うん、聞いちゃった…ふっ」
二人して笑った。
「めっちゃくちゃ恥ずかしい…」
「あーおかしい!でも大丈夫だよ。実はあたしも叫んで見たいって思ってたんだ」
「マジで?」
由香は笑いながら頷いた。
「でも初めてだね」
「えー、何が?」
「そんな風に笑ってくれるの」
一瞬にして笑いが凍った。
「そうかな」
「またいつもに戻った」
この人意地悪だ。
「じゃあね!」
「おっと!」
孝平は由香の前に回った。
「せっかく会ったんだし、話そうよ」
「あたし勉強しにきたの。じゃあね!」
そのまま孝平を置いて教室へ向かった。
「さてと」
ほんとはなんの目的もないんだけど、せっかくきたしやるか!
カバンから持ち歩いてる参考書を取り出した。
「僕も勉強するよ」
孝平が教室に入ってきた。
「本当にしつこいね」
「そう?好きなだけだよ」
よくそんなセリフ言えるな…この男は。
「その参考書、どこの?」
「えっ?青山堂の……なんか調子狂うなぁ。木谷君さ」
「孝平って呼んでよ、由香ちゃん」
……またこいつ。
「木谷君。勉強しないなら出てきなよ」
「なんならこうちゃんとか、こう君とか、孝平君でもいいよ」
聞いちゃいない。
「好きにして」
「やったね」
その後二人は黙々と勉強した。
「あっ…」
ここ、どうすんだっけ?
孝平は迷ってる由香に気付いた。

「ここは…」
ふざけてた孝平と違いとても丁寧だった。
「わかりやすいね」
「ありがとう」
お互い顔を見合せ笑った。
「木谷君。」
「なに?」
「なんであたしなの?」
「入学式から見てたよ。桜の咲く裏庭で、桜見上げてた姿…綺麗だった」
入学……式?
そんな前から?
「でも放送で、あたしの歌聞いてって」
「あの映像は僕だけのものだ。ずっと見てたんだ…」
言葉が出てこなかった。

なぜだか、心臓が早く音をたててる気がした。

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