7月8日。 試験休みである。 バイトが夜あるので、それまで出かける事にした。 昨日の澄み渡る空と違い雲がかかり雨がふりそうだった。 降る前に。 そう思い駅前ビルで、夏物を物色していた。 受験でバイトも今月いっぱいだし、買えるものは買っとかないと。 ブラブラ歩いていると1人の女性とすれ違った。 あれ? 振り返り見ると、向こうもこちらに気付いた。 「かず!」 5月に別れたゆりだった。 「久しぶり、ゆり…」 水をぶっかけられて以来だ。 「髪…きったんだ」にっこり笑ってゆりは答えた。 「かず!ちょっとお茶しよ」 そう言って二人でカフェに入った。 「良かった。また会えたらいいなって思ってたんだ…ごめんね!水かけちゃって」 「いや…俺が悪いんだし」 「ムカついたからさ」 ふっとお互い顔を見合せ笑った。 「でもあたしも悪いんだ。実はあん時、彼氏3人いたんだ」 3人? えっ? 言葉が一瞬出なかった。 「社会人と大学生の彼氏とかず。だから正直、周りからは飼い犬に手を噛まれたって言われてさ!でもかずの事が頭にあって…幼なじみ子だっけ?」 「あぁ…付き合う事になったよ」 「そっか…あたしにも幼なじみがいてさ。かずん所みたいに年近くなくて、10も上なんだけど、あたしも本当は好きでさ…」 アイスコーヒーをくるくる回しながら、ゆりはそのまま語った。 「でもあまりにも年が離れてて、本当に子供としてしか見てもらえないから、諦めようって思ったんだ。その彼以上を探そうとして、見劣りする所があればそれを補う新しい彼氏作って。 だからホワイトデーも親がどうこう言ったけど、別の彼氏といたんだよ」 「マジで?」 「うん、ごめんね!…でもかずを見て思ったんだ。自分に嘘つくのやめようって。 それで彼氏達と別れて、昔の自分見たく髪ショートにして、好きな幼なじみの所行ったんだ」 「それで?」 「知らない間に結婚してた。もうすぐ赤ちゃん産まれるらしくて。…でもその人に俺も好きだったよって言ってもらえて…」 自分がフッたのに、微妙に失恋気分を味わいながら、でもなんだか慰めたいような不思議な気持ちになり、ただ和彦は聞いていた。 「だから…次はちゃんと好きになった人と付き合いたいって。別にかずが嫌だったわけじゃないけど、やっぱ軽く見てた気はする。かずはあたしの事裏切らないって勝手に決めつけてた」 「俺も好きだったけど、憧れに近かったよ。どっかで無理してた。でもそれは好きだからだって思ってる」 お互い、これ以上会話を交わさなくても言いたい事がわかった。 「俺…バイトいかなきゃ…じゃあ…ありがとう」 そう言って立ち上がった。 「ありがとう。もう会う事ないかもしんないけど、元気でね。彼女…大切にして」 軽く手をあげ、店を出た。 ゆりにも幸せになって欲しいと、心からそう思った。 [先頭ページを開く] [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
w友達に教えるw [編集] 無料ホームページ作成は@peps! |