3月31日。 由香が小学校を卒業した年だ。 俺、一之瀬和彦は、4月から高校生になる。 小学生…今年から中学生になる由香は、幼なじみの友達というよりは、よくなつく妹だ。 この日も人の部屋で、しかも人のベットに寝ながら漫画を読んでいる。 「ねぇ、お兄ちゃん、『キスしよう』の続きないの?」 「お前もう6時だぞ、帰れよ」 「どうせお母さん遅いもん」 そう言って棚にある違う漫画をとろうとした。 「お前女なんだから、少年漫画じゃなくて、少女漫画のがいいんじゃないのか?」 漫画を読みながら由香は適当に言った。 「だって、少年漫画のが面白いもん…っていうか!!」 急に漫画を閉じ、由香がベットの上で正座した。 「あのね…」 真剣な表情で言うので、椅子に座っていた和彦も、由香の方へ体を向けた。 「明日から4月で、あたしも中学生になるから、子供を卒業します」 ???? 「どういう意味だ、由香」 「もう『お兄ちゃん』って呼ばない!兄妹でもないし」 「なんでもいいけど」 またくだらない事を… どうでもいいやと椅子から立った。 「和くん!」 驚いて振り向く。 「和くんって呼ぶからね!お兄ちゃん!…あっ」 和彦は思わず吹き出した。 「ダメじゃんお前」 二人して笑った。 この日をさかいに俺達は、和くん、由香と呼ぶようになった。 [先頭ページを開く] [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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