a childhood friend

優しさ

7月7日。

テストが終わり日曜で休み。
七夕に晴れ。
良いこと…あるかもしれない。

テストだった事もあり、あのあと孝平とは会ってない。
和彦とも会ってはいなかった。
昨日の土曜は加奈子に付き合い朝から、ショッピングにカラオケと家に帰ったらぐったりし、気がつけば朝だった。
加奈子は明るい。
一緒にいてうるさい時もあるが、元気ももらえる。
来年、一緒にみつはたを受けようと言ってる。
来年から共学になるらしく、変わった行事もあるらしいので、二人で勉強して、楽しみにしてる。
本当に雲1つない、晴れた空だ。
昨日さんざん遊んだけど、ブラブラしようかな…

窓をあけると和彦が立っていた。
「和くん…」
胸がギュッとした。
窓をしめようと思ったが、なんだか足がすくむような感じになり、窓を持ったまま立ち尽くしていた。
「由香!ちょっといい?」
言葉が出なかった。和彦が家に入ってきた。
コンコン
「入るよ」
和彦が扉をあけた。
優しく笑って言った。
「天気いいし、散歩しよ」
由香は黙って頷いた。

「あら、今日は出かけるのね?」
「散歩してきます」
和彦が言った。
「天気いいもんね。行ってらっしゃい」
バタンッ
「本当にあの子等は仲がいいわね…さて、洗濯洗濯」

「由香、行きたい所あるか?」
首を振った。
「そっか…こないだの動物園途中だったから行くか」
首を振った。
和彦が立ち止まった。
由香も止まった。
お互い顔を見て止まっている。
胸が締め付けられそうだ。
また泣きそうだ。
「由香…」
和彦が声を出した瞬間、目線をそらした。
目をつむり、息を飲んだ。
このままじゃダメだ…
避けてたってなんにも変わらない。
もうこんなぐちゃぐちゃな気持ちいやだ。
「和くん…」
やっとの思いで声を出した。
「ん?…」
優しく和彦が切り返した。
うまく息が出来ない。
「あの…ね…」
「うん…」
どうやって言えばいいんだろう…
言葉がわからない。
「大丈夫。聞くよ。
間違ってもいいから、ゆっくり話してごらん」
横を見ると、広場の前だった。
木材に移動し、座った。
「あたし…よくわからない」
「よくわからない?」
頷いた。
「和くんはあたしの事…」
和彦の顔を見た。
和彦はまっすぐ由香の顔を見ていった。
「すきだよ。妹としてじゃなく、1人の女の子として」
涙が込み上げてきた。
あたし…なんで泣いてるの?
和彦はそっと抱き寄せた。
「由香…我慢しなくていいよ」
好きって気付いた気持ち…我慢しなくていいの?
泣いていいの?
でも不安に思うこの気持ち…
和彦は抱き寄せた体を外し、笑った。
「不安に思って悩んでるんなら、大丈夫だよ。
ちゃんと受け止めるから。由香はいつものままでいいんだよ。何かが変わっても、俺がちゃんと支えるから。
どんなことでも言っていいんだ。たとえ俺を嫌いになっても、俺は絶対嫌いにならないから。お前は心配しなくていいんだよ」
「なんにも?…」
和彦は頷いた。
あっ…そうだ…
いつもそうだった。
あたしが何かした時必ず隣には和くんがいた。
叱られた時。
悲しかった時。
不安に思う時。
笑った時。
いつも…いつもそばにいた。
ずっとこうして撫でてくれた。
あらためて安心した。
1人じゃないって。
あたしには和くんがいるんだ。
わかってた。
「……好き。」
泣き顔のまま笑って言った。
「あたしも和くんの事、すきだよ」
「えっ……あはっ」
二人で笑った。
そしてそっと……
手を繋いだ。
「和くん…今日七夕だよ」
「そうだな」
二人で空を見上げた。

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