a childhood friend

問題

7月1日。

帰宅途中、由香と由香と同じ学校の子らしき男を発見。
「由香…」
「えっ?一之瀬君?」
奈々子が隣にいる事を忘れ二人に近づいた。
「由香!」
なにやらその男と話していたが、俺には嫌そうに見えた。
「かっ、和くん!」
由香は驚いてこちらを見た。
「和くん、なんでここに…」
「橘さん…もしかしてさっき話してた幼なじみ?」
木谷孝平が話しかけた。
由香が困った表情を浮かべている。
「ちょっと、一之瀬君!」
奈々子が走ってきた。
「一之瀬君、急にどうしたの?…知り合い?」
「幼なじみ…」
「へぇ…あっ、はじめまして!綾瀬奈々子です。一之瀬君とはクラスメイトなの」
奈々子は手を差し出した。
あまりのにこにこ笑顔に由香も戸惑いながら握手をし、孝平も流れでなんとなく握手をした。
「二人とも幼なじみなの?」
「いや、こちらの彼女が…」
由香があまりにもどんどん不機嫌になるのを見てヤバいと感じた。
「木谷君あたし帰るね、じゃあ失礼します」
そう言って由香は去ろうとした。
「由香!」
止めようとしたが、孝平に止められた。
「あんたこれ以上彼女傷つけんなよ。僕が彼女守るから」
そう言って孝平は由香の後をおった。
「えっ、えっ、ちょっとわけわかんないんだけど、一之瀬君、あの子達なに?」
しばらく去っていく二人を見ていたが、背をむけ歩き出した。
「一之瀬君!」
力なさげに口から言葉がもれた。
「俺、自信ない…女の子1人笑わせてあげる事が出来ない。一番笑って欲しいやつに笑ってもらえない…」
気が付くと、こんなに由香の事を思う気持ちが大きくなってるのに気付いて、泣きそうになっていた。
この年で男で泣くわけにはいかない…
ぐっとこらえ歩いた。
「一之瀬君…」
1人歩いていく姿を奈々子はただ背中をずっと見つめていた。

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