a childhood friend

友達

7月1日。

由香に冷たくされた後1ヶ月以上も会ってない。
と言うか、何度か家を訪ねたが留守ばかりで、携帯に電話しても、メールしても返事はなかった。
自分の事ばかり…
じゃあどうしたら良かったんだろう。
いまさら由香を妹のようには思えない。
たしかに小さい頃を思い出すと、懐かしく微笑ましく思うが、この気持ちは現在進行形だ。

でもこのいきすぎた考えは伝わらない。
俺が思えば思うほど、あいつは泣きそうな辛い顔をする。
このまま会わずにいた方がいいんだろうか…

教室からぼんやり外を眺めていた。
「一之瀬君」
クラスメイトの綾瀬奈々子が声をかけてきた。
「一之瀬君、テスト最終日カラオケ行く?」
俺のクラスは仲が良く、ほぼ全員と言える人数で遊んだりよくする。
「あぁ、行く行く!」
「良かった!一之瀬君歌うまいから、また平井堅歌ってよ」
「いいよ」
彼女とは同じクラス委員だったり、去年も同じクラスだったので、一番話しやすい。
「あっ、今日委員会あるって!」
「1日だからな」
この学校は教育熱心で、毎月1日にクラス委員を集め、生徒の声を聞く。
まぁ、めんどくさいと言われればめんどくさいが、学校と言う場所が好きで教師になりたい俺としては、興味があるわけで。
だから3年間クラス委員である。
「行こうか」
「あぁ」
綾瀬は本当に明るくて周りが華やぐ感じだ。
「そういや一之瀬君、最近付き合いいいけど、彼女忙しいの?」
綾瀬はいつも直球だ。
「あぁ…別れたんだ」
「えぇ?そうなの?こないだ旅行がどうのとか言ってたのに…」
「それ1月の話じゃねーか。まぁとにかく終わったんだよ」
教室に入り座った。
「だから最近ボーッとしてる事多いんだ」
プリントに目を通しながら言った。
「あぁ…ん…」
歯切れの悪い感じで口ごもった。
「ん?何?違うの?」
なんて言えばいいか、戸惑っていた。
「ん…まぁいいにくい事も世の中にはあるよね」
その言葉に救われた。
綾瀬はズバズバはっきり喋るけど、踏み込んで欲しくない所は踏み込まず明るい。
だから綾瀬の事を好きな奴も多い。
委員会を終え、教室を出た。
「一緒に帰ろうよ!同じ方向なんだし」
「あぁ」
二人で歩きながら、進路の話、テレビの話など盛り上がった。
くらい気持ちになっていたのが、少し晴れた気がした。
「一之瀬君見て、あのカップル可愛くない?中学生だよね」

視線の先を見ると由香だった。

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