a childhood friend

立場

5月13日。

日曜日。
彼女と待ち合わせた。
別れるためだ。
彼女の事が嫌いになったわけではない。
由香の方がより大切だと感じ、今まで無理してた自分を解放する。
嬉しそうに話すいろんな国の旅行話……面白かったんだけど。
じゃあこれからは友達で!……ってなわけにはいかない。
きっちりけじめつけよう。
待ち合わせ場所に彼女がきた。
いつも車だが、わざと車を断った。
少し二人で歩きたかったからだ。
それにいつものせてもらってるから、立場が同じように感じないのもある。
「かず!」
彼女が走ってきた。
「ごめんね、待った?」
「大丈夫だよ、行こうか」
二人は歩き出した。
「どうしたの?急に話があるなんて」
言葉が詰まった。
今ここで言うのか?
とりあえず…
「ゆり。今日は俺が奢るよ!あの店入ろう」
そう言って、レストランに入った。
「さぁてと!何食べよっかなぁ♪」
彼女は楽しそうにメニューを見てる。
飯食ってからにするか…
「あんまり高いのは無理…な事はないけど」
「どっちなのよぉ。大丈夫!わかってるって♪…ん〜コレにしよ。すみませ〜ん!」
それから食事をしながら、彼女の大学の話や友達の話を聞いていた。
笑って話していたが、心は真っ暗に落ちていた。
デザートが食べたいという彼女に付き合い、珈琲を飲んでいた。
そして、小さく深呼吸をして話始めた。
「ゆり。今日呼んだのは」
「話あるって言ったよね?何?」
「うん、実は……もう終わりにしたいんだ」
笑顔で聞いていた彼女は、みるみる表情が落ちていった。
「俺、好きな子出来たんだ。だから今日で終わりにしたい」
「誰?あたしの知ってる子?」
みるみるゆりの顔が険しくなった。
「何回か話した……幼なじみの子」
「幼なじみ…中学生の?」
「あぁ」
「まだ子供じゃない」
なんて言えばいいんだ。
「ごめん、ゆり」
「バカにしないでよ」
そう言ってゆりは手元にあった飲料水を和彦にぶっかけた。
「じゃあね」
そうキツく言い残し、ゆりは店を出た。
ずぶ濡れになりながら思った。
仕方ない……
「お客様、これを」
「すみません」
タオルで頭を吹きながらずっと思った。
これでいいんだ。
これで…

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