イ・ケ・メ・ン

思い出しました!

あのあと、体育祭の準備が忙しくなり、バイトも休んだので加奈子は準一と会う事がなかった。
真吾に「考えさせて」と告げたが、まだ答えは出せずにいた。
体育祭当日。
準一の姿を見る事が出来るだろうと思ったが、何故か欠席だった。
3週間以上会わないまま、同じバイトの日になった。
忙しくている間は話せなかったが、終わるといつものように準一は待っていた。
「帰ろうか」
優しく微笑んで言った。

二人無言のまま加奈子の家までついた。
「加奈子に渡したいものがあるんだ」
そう言うと一枚のハガキを出した。
「これは…」
「実は岩下先生の薦めで、コンクールに出したら賞もらったんだ。だからそれで体育祭いなかったんだけど」
「うそ…凄いじゃん!」
自分の事のように喜んだ。
「良かったら見に行って…じゃあ帰るね」
そう言うと準一は帰って言った。

翌日。
加奈子はハガキを元に展示場へ行った。
いろんな作品が飾られてある。
みんなうまいなぁ…
感心しながら行くと、準一の絵があった。
「これ…」
準一の描いた絵は、川辺に女の子が微笑んで上を見上げている絵。
加奈子は思い出した。
林間学校の時、準一は自分の絵を描いた。
それが元になってる絵だ。
「あの時の…」
しかもタイトルを見て、胸がしめつけられた。


『僕の好きな人』


涙があふれ、いてもた ってもいられなくなり、準一の元へ走った。

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