イ・ケ・メ・ン

帰ってきました!

バイト先の店長から電話がきて、急遽明日入る事になったので1日早く帰る事になった。
最寄り駅を降りたら、改札口に準一が立っていた。
姿を見つけた瞬間泣きそうになるのをこらえながらかけよった。
「じゅん!」
声をかけると優しい笑顔で出迎えた。
「おかえり」
言われた瞬間涙がでて思わず抱きついた。
「ただいまぁ」
「うん…」
準一はそっと加奈子を抱き締めた。
「あっ…」
何、私抱きついてるの!?
自分から抱きついたくせに、もの凄い勢いで放れた。
駅前で何してんのよ、私!
涙を吹きながら笑って言った。
「久しぶりだね!」
あっ、あれ?
準一が喋ろうとしたのを遮り言った。
「身長伸びてない?」
「えっ?あぁ…どうだろ…そうかなぁ」
「絶対そう!春くらいに歩いた時よりなんか高いもん!今抱き締められ…て…」
急に恥ずかしくなった。
準一も少し照れながら、加奈子の荷物を持った。
「送るよ、行こう」
「うん」
二人は加奈子の家に向かって歩いた。
ちょっと照れくさく、二人とも手を繋ぎたいと思いながら、
微妙な距離を保ちながら歩いた。
「ねぇ、じゅん。どれくらいいたの?」
「2時間くらい?」「えぇ?…2時間?そんなに?」
目線を外し前を向きながら答えた。
「加奈子も待っててくれただろ?こないだ。
…今日夕方くらいに帰るってメール貰ったから、バイト終わって待ってたんだ。一緒に歩きたくて、今日は歩いて行ったよ、バイト先」
そういや、自転車じゃない。
どうしよう、ドキドキしちゃうよ…
「着いちゃったね」
家に着いた。
どうしよう…
今、離れたくない。
「じゅん!」
名前を呼んだ瞬間、準一の携帯がなった。
「ごめん」
そう言って、準一は携帯に出た。
「うん、うん、…えっ?……あぁ、わかった、行くよ。じゃあ」
ばつが悪そうにゆっくり振り返った。
「ごめん、加奈子行くね」
「あっ………うん」
行って欲しくない。
言いたくても言えなく、玄関を開けようとすると、準一が止めた。
「遅くなるかもしれないけど、きてもいいかな?」
涙をこらえ精一杯で答えた。
「えへっ…待ってるよ」
ホッとしたように準一は微笑み、加奈子の家を後にした。

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