イ・ケ・メ・ン

バイト探してます!

期末テスト…。
散々でした…。
がっくし。
準一の家に勉強しにいったものの、美里の存在が気になり、全然集中出来ず、ちょっと良い雰囲気だったのも忘れてしまうほど、神経過敏になっていた。
「加奈子!夏休みの小遣いは自分で稼ぎなさい。
バイトも出来る年になったんだし」

期末の成績も悪いため、普段なら夏休みは休みが長いので、テストの結果によって、小遣いがアップされたものの、酷かったので、返す言葉もございません。
夏休みの間、平日は部室が朝9時から昼3時まで開放されていた。
自由に使える事になっていたので、出展するような一部の人間のみ使われていた。
準一のように、将来は絵を描く仕事につきたいと考えてる人間なんだから、それこそ毎日行けば会えると思いきや…
「僕は賞とか気にしないし、描きたい時に描くし、バイトも入ってるし、最近は家のがイメージわきやすくて」
と言うので、週に1日いるかいないかだった。
バイトも根が真面目なので、バイトの人数が減ってしまい、店長に泣きつかれ、シフトを増やしてるらしい。
そんなメールのやりとりをしてるが、テスト最終日に下駄箱で会って以来随分会ってない。
もうすぐ8月だよ…
アルバイト雑誌をパラパラめくりながら思った。
メールが入り見てみると由香からだった。
近くにきてるらしく会おうと言ってきた。
超ラフな服装だが、遊びに行くわけでもないし、立ち話するくらいだからと、何も思わずに家を出た。

すると、由香が男の子と話してる。
彼氏か?
そう思い近づくと準一だった。
由香がこちらに気付き手をふった。
「あんた、超ラフな格好だね」
普段遊びに出かける時は、全身バッチリ決め、ネイルに化粧も、ナチュラルメイクではあるがキメている。
しかし今…
3年くらい前から着てる部屋着と化してるシャツに、ジャージ、さらにビーチサンダルとあきらかに今日1日だらだら家にいましたと言わんばかりの服装に、加奈子は悲鳴をあげそうになった。
もの凄い形相で、マッハで由香の腕をつかみにっこり準一の方を向いて笑い、
「ちょっと待っててね」
と口調は可愛らしくいい、由香を角へ引っ張った。
「由香!じゅんがいるなんて言わなかったじゃん!」
由香が、半笑いで加奈子の服装を見ながら答えた。
「さっきあんた待ってる間に会ったのよ。
今から加奈子ん家行こうとしてたらしいから、くるよって話してたの。
それにしても、落差激しい格好だね」
頭の中で何かがキレる音がした。
「ブチ殺すわよ」
もの凄い低い声で言った。
「あんたが言うと、ジョークになんないわよ」
と引き気味で答えた。
すると後ろでモジモジしながら準一が、喋りたげに立っていた。
「そろそろ…いいかなぁ?」
加奈子は満面の笑みを浮かべ振り向いた。
「ごめんね、じゅん!今日はどうしたの?」
すると準一は一枚のチラシを渡した。
「友達と約束してんだから用件だけ言うよ。
バイト探してるって言ってただろ?うち今人数足りなくて募集かけてるんだ。良かったらどうかなって」
準一はレストランで働いている。
同じ…バイト…
同じバイト!
そうよ、その手があった!
帰り危ないから送るよ。なんて帰り道歩いてると、車かなんかがきて、危ないって肩なんか寄せられちゃったりして………
キャー―――――!
「やります!やらせていただきます!」
「じゃあ、店長に伝えてみるよ。
面接とかまた連絡入れるから。
じゃあ…会えて良かったよ」

そう言うと準一は帰っていった。
見えなくなるまで大きく手をふる加奈子を見て、由香がボソッと言った。
「あんた完璧あたし忘れてるでしょ」


去っていった準一は思っていた。
スポーティーな服装もなんかオシャレでかっこよかったな…

ズレてるぞ、準一!

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