イ・ケ・メ・ン

強敵です!

一階へおり、扉に向かって指を差された。
「ここ」
さっきまでの明るい可愛らしい笑顔とは裏腹に、電池でも切れたかのように答え、美里はキッチンへ向かった。
やっぱさっきの、見間違えじゃないよな!
急に感じ悪くなったよあいつ。
トイレからでたら、壁にもたれながら腕をくみ、見下すように美里は加奈子を見た。
なんなんだ?
訳が分からず立ち尽くしていると、美里が口をひらいた。
「中の下」
フッと見下すように笑う。



だぁれがぁ!
ちゅうのぉ、げじゃあぁぁぁ!
「急に何よ!」
厳しい口調で切り返した。
「じゅんちゃんの好きらしい女がくるって聞いたから、どんな女かと思って、デート断って家にいたけど、見たまんま言っただけじゃない、中の下」
はぁぁぁぁ?
ちょっと可愛いからって、なめくさりやがって!
「初対面で失礼じゃないの!
あんたたかが、じゅんの妹でしょ?
なんでそんなこと言うのよ!」
クスッと憎たらしく笑った。
「あたしが最初に目をつけたのよ。あんたもどうせメガネの下見て、取り入ったんじゃないの?」
うっ…
否定は出来ない…
「あっ、あんた兄妹でしょ」
「血の繋がりはないんだもの。
別に何があっても構わないじゃないの。じゅんちゃんは、あたしのものよ。
学校が変わったから、手をつけられないように、あんなダサメガネわざとかけさせてたのに、入学して2ヶ月くらいで急にコンタクトにするなんて言うから、何があったかと思ったら…こんな女が相手だなんて」

よくもまぁ、ベラベラと喋りやがって!
ぶん殴ってやろうか!
そう思った瞬間、二階から準一がおりてきた。
「あっ、加奈子、わかった?」
無理やりに笑顔を作った。
「うん、ありがとう」
そう言うと、さっきの感じ悪さはどこへやら、もの凄くすき通る可愛らしい声で、美里が口をひらいた。
「加奈子ちゃん、ゆっくりしていってね」
あまりの変わりように、まさに開いた口が塞がらないとはこのことである。
美里は階段を上がっていった。
こんな所に強敵がいるとは思わなかった。
なんとかしないと。

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