イ・ケ・メ・ン

良い雰囲気です!

「あの、これ良かったら食べて下さい」
そう言ってシュークリームを差し出した。
「ありがとうございます。お茶入れますね!
じゅんちゃんの部屋持ってけばいいかな?」
うわっ、笑顔が眩しすぎる!
「ありがとう、加奈子紅茶?珈琲?」
「じゃあ紅茶を」
「任せて!美味しいの入れちゃうから」
そう言って美里は、キッチンの方へ向かった。
階段を上がりながら準一は何気なしに言った。
「みっちゃんの作る紅茶うまいから、今日きてラッキーだよ。僕じゃあんまりうまく入れられないからさ」
みっちゃん…
じゅんちゃん…
血の繋がらない妹…
馴れ馴れしい…
なんかムカつく。
「仲いいんだね」
思わず低い声で言った。
部屋のドアを開けようとして準一が振り返った。
「加奈子、どうしたの?」
ハッと気付く。
ヤバい!
超低いトーンで言っちゃった。
あきらかにわざとらしいが、めちゃくちゃテンション上げて言った。
「勉強しよう、ね!」
少し不思議そうな顔をする準一を無視し、部屋に入った。
シンプル。
その言葉がぴったりの準一らしい部屋だった。
テーブルが出してあったので、ベットを背に座る。
準一も机から教科書をとり向かい側に座った。
「始めようか」
そう言って、教科書をめくり始めた。
「どこわかんないんだっけ?」
実は準一はどの教科も良く、正式にはわからないが上から数えた方が早そうな成績だった。
「あっ、ここ」
「あぁこれか、ちょっと待って」
そう言って教科書持ちながら、加奈子の隣に移動した。
「ここは、こうなって…」
「あっ、そっか、なるほど、教え方うまいね」
そう言って顔を上げると、肩が触れあうくらいの距離にいて、一瞬時が止まり、目と目があい、思わず加奈子は目線を反らした。
「加奈子」
名前を呼ばれた瞬間、準一は加奈子の手にそっと手を重ねた。
加奈子も外した目線を戻すと、準一がまっすぐ見つめていた。
このシチュエーション…
きっ、きちゃう!?
準一の体が加奈子に近づいた瞬間!

コンコンッ
「持ってきたよ〜♪」
美里の声と同時に準一は手を離し、立ち上がった。
「あぁ、ありがと」
そう言うと扉をあけ、紅茶とシュークリームを受け取った。
加奈子は下をむいたまま固まっていた。

ドキドキしたけど、あのおんなぁぁ!
あともう一歩だったのにぃぃぃぃ!
ギリギリ歯を噛み締めていた。

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