イ・ケ・メ・ン

驚いてます!

美術部に、女子率が上がってる!
この学校は今年から共学になり、あきらかに女子のが少ないはずなのに…
「なんじゃ、この人数!」
「さっ、沢村さん?どうしたのかな?」
我に帰る。
「なんでもないでぇす」
くそっ
しかもじゅんのクラスの女どもばかりじゃないか!
イケメンになったからって、手のひら返しやがって!
………私もか。
いや、私はあいつがいい奴だと思ったし、
夢に出てくるくらいだし……って、言い訳くさい。
そう私は顔で選ぶ女!
そうだよ!
じゃあいいんだよ!
……じゃああの女どもと……
まぁいいや、しょせん私はその程度の女よね。
「加奈子、手止まってるね?なんか手伝おうか?」
準一が隣に座り声をかけてきた。
そして準一の背中越しには、追っかけてきた女子達がもの凄く冷ややかに見てる。
しかし、この男は私が好きなのよ。
優越感に浸るように「見たか!」と言わんばかりに鼻で笑い、準一と話始めた。
「大丈夫。ちょっとここ、うまく描けなくて」
「あぁ、だったらね…」
そう言って準一は、加奈子のキャンパスに手を加えた。
あっ…こいつ凄い。
「…じゅん…凄いね…全然違う」
ビックリした。
ほんの少し手を加えただけなのに、
色の入り具合によってまるで印象が変わる。

正直学さん目当てで入ったので、嫌いではないけど、得意なほどでもない。
むしろ絵なんてどうでも良かった。
たしかに、好きな感じで自由に書く感じや、自由に活動出来るから中にはバイトの合間に週1くらい描きにくる子や、
先生にうまくなりたいからと、密着するくらい学さんに教わりながら描く子、いろんな子がいる。
でも、うまいか下手は正直別だ。
「じゅん…うまいね、本当に」
筆をとめ、照れながら言った。
「ありがとう。
大学も美術系に進みたいし、絵を描く仕事したいんだ、実は。まだまだなんだけど」
体を準一の方へ向き直し、力強く言った。
「じゅんなら出来るよ!
つーか今のまんまでも充分うまいよ」

新たな一面をしり、私の中で何かが変わろうとしていた。

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