こいびと

何気ない会話。

さすがにあの夜は考えてしまい眠れなかった。
「おっはよう!」
彼女がおもいっきりカバンをぶつけてきた。
「反応悪いなぁ!風邪でもひいたか?」彼女の明るい笑顔に、自然と笑みが出た。
「可愛いな、お前」
思わず声に出てしまった事により、彼女が思いっきり真っ赤になった。
オレも何言ってんだよ。
思わず無言になってしまったが、ともだちが声をかけてきた事により、ハズい雰囲気は免れた。

放課後になり、雨が降り始め、校内練習になった。
校内練習。
一階から三階まで駆け上がったり、ひたすら筋トレしたりする。
休憩時間になり、奥の教室から聴こえる吹奏楽部に耳を傾けた。
あいつはフルートを吹いているらしい。
だけど全然うまくならずにかなり苦労しているようだ。
天井を見上げ耳を傾けていると、休憩時間らしくあいつが出てきた。
「あれ?休憩?」
「あぁ」
他愛のない会話がもの凄く気持ちが落ち着く。
「あっ、誕生日ね、場所なくてうちの家なんだけど」
「わかった。またなんか決まったら言って!じゃあ行くわ」
誕生日…。
楽しみになってきた。
うちにあいつがくる事はよくあるが、あいつん家は初めてだ。
練習が終わり携帯を見る着信履歴があった。
「この番号…」

元カノだ。

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