こいだち

目線。

文化祭。
オレのクラスは喫茶店。
しかも男は女装で女は男装。
世の中男より女のが強いかもしれない。
女どもの押しの強さに負けてしまった。
とはいえ、男は半分裏方。
しかしオレは女装するはめに。
しかもオレ、無理やり化粧させられ、スカートをはかせられたが…似合ってしまい、名物と化してしまった。
「写真、一緒にいいですかぁ?」
「…はい。」
似合う自分がなんとも言えず。
なんで女装してピースしてんだよオレ。
「そろそろオレも休憩したいんだけど」
「えぇ!売り上げ落ちちゃうわねぇ…なーんて、いいよ!」
つーか、お前が提案したんだろが。
そもそもこの女が変な喫茶店案出さなければ、こんな目には。
…好きな女に化粧落とされてる男ってどうよ。
「はい、オッケー!ちゃんと男前だよ」
思ってないくせに。
「なんか言った?」
「いや、別に。お前は休憩しねーの?」
「ゆりちゃん待ってるんだけどね」
「あいつさっき『彼氏がきた』って言って出ていったぞ」
「えぇ!マジで?…」
わかりやすいやつ。目に見えて落ちてやがる。
「しょうがねーな、オレと回るか」
「ホント?」
つられてこっちまで浮かれてしまう。

学校内、体育館からは軽音部の演奏が流れ、校庭では屋台をやる組、生徒会がイベントしたり、各クラスいろんな催しものをしている。
ゲームセンターと書かれたクラスにパンチングマシンがあり、女ながら高得点だしたこいつは、商品をもらいまた大口あけて笑ったり、
カラオケスタジオと書かれたクラスでは、オレの下手さぶりに笑われたり、屋台では闇鍋に手を出しあまりの不味さに吐き気がした。
「うちのクラスきてくれた?」
声をかけてきたのは、彼女が好きな先輩だった。
「あっ、まだです。お化け屋敷ですよね?」
今まで大口をあけて笑っていた彼女が、一気に女のトーンにな った。
「彼氏?二人でぜひきてね。じゃ」
微妙な事言いやがって。
先輩の後ろ姿を見送る彼女はやはり女の顔だった。
「せっかくだし、お化け屋敷行こっか」
「おぅ」
無言で二人は階段を上がった。

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