ともだち

ともだちライン。

まるで少女漫画のようなシチュエーション。
校舎裏に呼び出し。
オレ的には屋上のが好きなんだけど。
最近なかった告白。
昔のオレなら確実にいただいちゃうんですけど。
「わりぃな、今誰とも付き合う気ねーんだ」
「いつもいるあの子ですか?」
固まってしまった。
否定は出来ない。
「だったら?」
「いつも見てて思ったんです。あの子といる時だけ表情が柔らかいんです。好きなんだろうなって。
でも伝えたくて。言えただけでいいです。すみません、失礼します」
…可愛いじゃねーかよ。
しかしそれ以上何も感じない。
見た人によったらわかるんだな、そういうの。
たしかにあいつのあの顔…すぐわかったもんな。
「ごめん、聞いちゃった…」
教室に戻ろうと、廊下に入ろうとした瞬間、腰を抜かして座る彼女を見つける。
最悪。
まさにお約束。
「現国の谷口が、探してたよっ」
「あぁ」
歩きだし、後ろを歩く彼女。
沈黙。
沈黙。
沈黙。
「お前、聞いてたって、何処からだよ」
「『いつもいるあの子ですか?』」
最悪。
聞かれたものはしょうがない。
腹をくくるしかない。
「その通りだよ。お前鈍いんだよ、何にも気付いてねーだろ」
「そっ、そんな事ないよ」
「えっ、お前気付いてたのか?」
「えっ、あっ、」
「……嘘かよ」
やっぱり。
こいつが気付いてるわけない。
「あの」

キーンコーンカーンコーン
二人同時に何か言おうとした瞬間チャイムがなる。
走り出す二人。
「言っとくけど、お前があの先輩好きな事わかってるから、だから…」
「はい」
「オレら『ともだち』だからな。変な事考えるな!わかったな」
微妙な沈黙のまま教室まで走った。

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