初恋。 初めて恋をすること。愛すること。 「なんで勝手にきてんのだよ、ババア!!」 家が嫌で仕方なかったあたしは、ある人物のすすめによりルームシェアをすることになった。 と言っても、一緒に住んでる人物がすすめたんだけど。 そこへ、来てほしくない人物がいきなりやってきた。 「娘の家に何で来ちゃいけないのよ」 「あんたを入れるスペースなんてねーんだよ!!」 玄関前で親子ケンカ。 するとパジャマ姿の人物が、あまりのうるささに奥から顔を覗かせた。 「チカ?」 あくびをしながら、玄関へと来ると知らないおばさんが一人。 「?・・あっ!!」 何かを悟り多分挨拶をしようとしたんだろう。 しかし、さえぎるようにババアが喋りだした。 「な、な、なによあんた!!同居の子は、女の子だって言ったじゃない!」 「はあ!?何言ってんだよ。あたたしはあんたに言ったさ、恵と暮らすって!こいつの名前は恵陸太郎って、言うんだよ!」 言い終えた瞬間、後ろにいた恵が頭を抱え隣に来た。 「とりあえず中にお入りください」 「恵!!」 恵はじっとあたしの顔を見た。 「・・・・わかったよ。入れば?」 あたしは不機嫌そうに奥のリビングへと足を向けた。 母親は、後ろから聞こえるか聞こえないかわからないかくらいの声で、ずっと何かを言っていた。 あぁ・・・嫌だ。 おもいっきり負のオーラを出しながらリビングに向かうと、軽く着替えた恵が、満面の笑みを浮かべながら台所に立った。 「あいつ・・・」 母親は中に入ってくると、我が物顔でどしりとソファーに腰を下ろした。 こういう態度がなおのこと嫌気がさした。 「さあ、説明しなさい。お母さんが聞いたのは、恵って女の子と同居するって事だけよ。ここだって、マイに教えてもらったんだからね」 「いまさら母親面しないでよ。ほったらかしでここまできたくせに」 「ほったらかしてなんかいないわよ!!ほったらかしてきたのは、お父さんでしょ?」 「ほら、そうやって人のせいにする。そりゃあ、あの馬鹿親父も何にもしてはないけど、金稼ぐだけあんたよりましじゃねーの?たんにあんたがほっとかされただけじゃん!だから」 「はいはいはいはい!・・・とりあえず」 言い合いになりかけた所に、恵が紅茶を運んできた。 「こちらどうぞ。たいしたもんじゃありませんが」 「恵。こんな奴に茶なんて出さなくてもいいよ」 「こ、こんな奴ってチカ!あんたね!」 「だから、お二人さん」 あきれた声に、プチ切れてイライラが恵に向こうとした。 しかし、ここできれたらこのババアと変わらない。 咳払いでごまかし、天井を見上げた。 すると、恵はその姿を見て噴出しそうになった。 「ごめん、ごめん・・・あ、じゃあ改めて。娘さんと一緒に暮らしています恵と申します」 少し笑いを我慢してるのはわかったが、こっちがはずかしかったのでなんとも言えず黙り込んだ。 「やっぱり、一緒に暮らしているのね」 「ええ。でも、僕らは友達です。お母さんが思っておられるような関係では・・・ございません」 「そ、そんなの信じら」 母親のその言葉に、ピキッときて最後まで聞かずに今度は立ち上がり、怒鳴った。 「信じらんねえってなんだよ!そうやってやっぱ、やらしい事考えてんじゃねえかよ!あたしはな!!」 あたしは、今までのうっぷんもあり、このまま全てを言ってしまおうとしていた。 なのに、笑顔で横から言った恵の言葉。 「僕、ゲイなんです」 とても落ち着いた澄み切った声。 キれかけていたあたしは、隣にいた恵を見た。 そしてすぐに母親に視線を、移した。 「は、はは・・・何を言ってるの?この人は」 恵は顔色変えず、まっすぐ母親を見つめるともう一度言った。 「同性愛者です」 母親は、すぐにあたしの顔を見た。 目が合うと、すぐに目線をそらした。 「う、嘘・・・あははは・・・ええ?何?ど、同性?」 母親は、現実がよくわからなくったのか薄気味悪い笑いを浮かべながら、下を向いた。 「あ、あの・・」 恵が気遣い母親の肩に触れようとした。 「い、いやぁぁ!!」 母親は、恵の手を払い後ろに下がった。 「て、てめえ!!」 母親の態度にあたしはむかつき、胸倉をつかみかけると、恵が止めた。 恵は首を振り、あたしの手を握った。 「・・・帰れよ」 その言葉を聞くと、母親は無言で家を出た。 あたしは涙を流しながら恵の胸に顔を埋めた。 「ごめんね?」 「何が?」 「ごめん」 恵はずっと頭をなでながら優しく抱きしめてくれた。 あたし達は、恋人同士じゃない。友達だ。 [先頭ページを開く] [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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