自分とは問題は違うけど、本当は誰かに聞いて欲しくて、誰かに味方になって欲しい・・そう思いながら生きている女の子。 この子には、言ってもかまわない。 そう思って、自分がそうだと告げた。 自分で、自分を認めた瞬間でもあった。 たしかに驚いてたけど、その後も変わらない態度にどんどん心を許す自分がわかった。 「そうやって、毎日のようにチカといた時、周りに付き合ってるんじゃないかって噂されただろ?」 「うん、言われてた」 「付き合ってもいいかなって思ったよ」 「はぁ!?何言ってんのよ!!」 「いや、初めて女の子といて楽しかったし、正直北川の事はあの時は本当に忘れてたんだ。元々吹っ切るためにワンランク下げて受験したんだし・・チカ?」 おもいっきりヘッドロックをかました。 「悪かったわね!あたしはスレスレで入ってんのよ!」 「いたい!いたい!ごめん!ごめん!」 おもいっきりふてくされてると、また子供をあやす様に頭を撫でてきた。 「かわいい、かわいい」 「だ〜か〜ら〜!!」 恵は楽しそうに笑った。 その顔はやっぱり好きだと感じた。 ・・・・・あれ? 「まあでも、チカがそういうのダメだってのも知ってるし、こういう友達が欲しかったんじゃないかってのはわかったし、そういう事がしたいってわけじゃないし・・・このままなら、北川の事は忘れられる大丈夫って思ってた。そんな時にさ、進路を考える時期に来た時親と揉めてた」 「あたしはもう学校行くつもりなかったからなぁ」 「僕は最初言ってなかったろ?」 たしかに。 「同性愛ってのも気になる自分もいて、ひそかに今行っているバーに行ってみてやっぱりこっちにって思ってた頃、再会したんだ」 「あ・・」 「付き合ってた。中学の時に好きだった彼女と」 なんとも言えなかった。 「彼女は少し離れた専門学校を受験することが決まっていて、あいつは工場に入る事が決まってた。会える時間が短くなるって寂しげに言われた表情が、また何ともいえなくて・・」 やっぱり、好きなんじゃん。 なんだか、ズシンときた。 男が好きってより、その北川ってやつが好きなんだよな・・・きっと。 ちゃんと、話してくれてる。 なのに、なんでかなぁ・・なんなんだろう。 「その時に、僕の進路を聞かれた時に軽い気持ちで北川ん家に就職しようかなぁなんて言ったんだ」 笑ってる。 「今人いないし、自分も小さい頃から見てるけど不安で一緒にやらないか〜!なんて、すごい勢いで言われ工場まで連れてかれて・・」 遠い目。 「適当に言ったし、よこしまな思いはあったけど見てみて、本当に面白いしかっこいいって思ったんだよ。今時機械にまみれたくたびれた工場で、給料も安いしさ・・・・でも働くよってその場で言った。でも親には反対されるだろうから黙ってた」 「それでケンカして家出したんだ」 「ゲイってこともカミングアウトしたしね」 「結局なんで一緒に住んでたの?」 「言ったろ?あいつが、彼女と一緒にいる時間がないって」 「まさか!」 恵はうなづいた。 そして頬杖つくとむくれた。 「今思えばなんでみずからそんな事したんだろうなって思ったよ。たしかに、仕事も僕は事務も半分やってたから常に一緒じゃないけど一緒で家に帰っても部屋にこもらない限り一緒にご飯食べたりしてたのに、あいつは親元を離れたからなんかあればすぐに彼女の元に行ってたし、彼女の所から工場に来ることもあったよ」 「じゃあなんで今一緒にいないの?バレたの?気持ち」 「いや。今も知らないはずだよ」 「じゃあなんで」 「妊娠したんだ、彼女」 聞かされた時の事を思うと、あたしの想像をはかり知れない思いをしたんじゃないかって思った。 なんだろう、関係ないのに・・・ 涙が出てた。 「お、おい。チカ。君が泣く話じゃ・・・」 ないのは、わかってる。 だけど!だけど! 「だって。だって!だっ・・」 声にならなくなっていた。 聞いちゃいけなかった。 思い出させちゃいけなかった。 だからだ。 だからすぐあたしを呼んだんだ。 一人になりたくなかった。 寂しかった。 忘れたかった。 なのに、なのに・・・ あたしは、いつも自分ばっかで!! 「恵・・」 すると、恵はあたしを抱き寄せ そして耳元で言った。 ありがとう。 言われた瞬間思った。 この気持ち。 この感触。 ・・・・・多分、これが初恋。 [先頭ページを開く] [指定ページを開く] <<重要なお知らせ>>@peps!・Chip!!をご利用頂き、ありがとうございます。
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