あたし+僕=何?

12

「これ・・」
「あぁ。こういう場合なんて言えばいいかわかんないけど」
「ああああああ!!!!ストップ!!!」
「何?聞きたいんじゃないの?高校ん時みたく」
「わかってる。もうあたしは大人なのぉ」
恵はクスッと笑った。
「何よ」
「大人なんですか?」
「埋めてやろうか?」
「わあ、殺されるぅ」
恵はクッションを手にすると隠れるように頭にクッションを乗せた。

って、聞いてないじゃん!

恵は適当に笑うと、テレビのチャンネルを変えた。
明らかに流そうとしてるのがわかった。

やっぱ、聞かれたくないことか・・・
でも、一瞬言おうとしたよね?
でもあたしの事わかってるから、言う手前までとか思ってたとか?

一緒にテレビを見ながらも、悶々とした。
そんな時、ふと思い出したのが「聞く」って事。
だからこそ、さっき切り出そうとした。
なんとなくで読める事はある。
だけど、本当に言わないと伝わらない思いもあるし、気づかない人もいる。

「言葉って、難しいね」
「チカ!?」
「で?あれは誰?言いたくないなら、言いたくないでいいよ。でも、普通あんまり誰かを待ち受けにはしないじゃん?自分にとって大切な人や好きなものや携帯に内蔵されてたものとかさ・・・そりゃあ、恵の友達とか仕事関係とか何もかも知ってるわけじゃないから・・」

なんだか、わけがわからないようになっていた。
すると恵はいつもの笑顔であたしの顔をジッと見て言った。

「チカの多分想像してる通りだよ」
思わず口から出た。
「前の住人?」
恵はうなづいた。

やっぱりそうなんだ。

「あの人が・・・」

なんともいえない気分になった。
最初は、子供見たくドキドキがあり興味本位な所があった。
それに、話す事は知っておきたい気持ちがあった。
でも恵は聞かないとなかなか言わない。
あたしは、恵にだけはなんでも話すようになっていた。
同じ年だけど、本当に頼りにしてる存在。
これって・・・
友達なのかな?
友達って何?
と、時々思う。
だけど、日々の楽しさに忘れてしまう。
友達になって約三年。
まだよくわかってなかった。

「チカ?」
「あ・・うん」

ぼんやりしてた。

「そ、そっか。なんかいい人そうな人だよね」

ありきたりな答え。

「めずらしいね」

にっこり笑う恵。
言いたい事はわかってる。
なんだよ!
自分から言わないくせに聞かれたいのかよ!
じらしやがって・・・

「じゃ、じゃあ・・教えてよ」

高校を卒業してからの一年。
恵が何をしていたのか、大雑把にしか知らない。
会ってた時は、いつもあたしの話ばかりだった。
バイト先、家の愚痴ばかり。
そしてあたしの爆弾が爆発した時に・・・恵が一緒に住もうと言ってくれた。
恵は自分が「ゲイ」だと両親に告白し、家を出されたというか自ら多分出た。

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